シゴフミ 〜Stories of Last Letter〜
最初に告白タイム。表紙絵買いです。
表紙に出ている美少女は銀河鉄道にお勤めの車掌さんの萌えキャラ版と空目した私を誰が責められよう。
タイトルの意味もワカラン状態だった。
とは言え、結果として内容とその主題は存分に楽しむ事ができた。
イラストで受けた衝撃とは裏腹に、物語中では死後文(シゴフミ)配達人の文伽(フミカ)は存在感が薄く表現されている。
#まぁ、それでも、もちろんいい味を出しているので自分の慧眼に間違いが無かったことを噛み締めているわけだが・・・
人の死を非常に近い立ち位置でありながら、あくまで他人視点で目の当たりにさせてくれる物語は、死んでしまった本人とその遺族両方の立場を「自分だったら・・・」という観点で感じさせ、読後のやさしい気持ち感がたまらなく心地よい。そんな作品である。BGM無しで読むのがヨロシ。
以下は個々のストーリーに関して感じたこと。ネタバレ注意。
『飛べない蝶』
扉絵がいきなり百合なことで、嫌でも期待感が高まる訳だが、まぁ、そういう物語ではない。
ただ、途中でイタイ気持ちがすごく高まった。
色々と理由はあるようだが、この物語のヒロインは自殺願望を持っている。三十路を随分前に越えた自分としては、イタさ満点な気分だった。
しかし、このイタさはどこから来るのだろうか?自殺願望は物心がつけば誰でも潜在的に持ち始めるものであろう。人は死に何かを期待せずにはいられない。
その事は知っていつつも、社会に居場所を見つけはじめると、自殺願望を持っていた自分を否定したくなってくる。それが「自殺願望持ち中坊イテえ(いや、本編の主人公は高校生だが・・・)」という言葉になったりするのかもしれない。
感情と思考のそんな矛盾に身悶えしながら、続きを読む。
死んでしまったほうの女子高生は、残された子に二通目の死後文を書く。この二通目が自殺願望を残しつつも実際には死ねない苦悩にはまっているヒロインを救う。
その終わり方に少々不満を覚えながらも、ほっと安心した自分に気づく。
・・・・この一遍だけだったらこの物語には、良い感情は持つ事ができても高く評価することができなかったかもしれない・・・
『ひとひらの思い』
愛情の深さとその表現方法は人によって異なる。ただし、自分が正しいと思っていた表現方法も後になって後悔する時が来るかもしれない・・・・。
今度は美青年マジシャンとその恋人兼アシスタントが出てくる。アシスタントの女の子が死んでしまうのだが、マジシャンの青年は端から見ると心配している様子も無く、周りの人々も不審がってしまう。
普通はここでツンデレ展開を期待するものだが、このツンはまったくデレの気配を見せない。
歯がゆい思いで読み続けるのだが、そろそろページ数が切れるというのにそのままストーリーが進んでいく。うわぁ、もうダメだと思ったタイミングで女の子の最後の笑顔のイラストが現れ、救われた気持ちになれる。
正直、ホントに救われた。イラストのポコさんの力量に感謝!
『父さんの眼差し』
つらい気持ちを抑えつつ、それでも読むのをやめられず、いよいよ本巻最後の物語になってしまった。
本音を言うと、この物語のヒロインが一番共感できる。
さらに『ひとひらの思い』で不満だったツンのデレがきちんとこっちでカバーされているところも忘れてはならない。
ほんと、愛情表現というのは誤解を生みやすいものだ。ここでもヒロインの"父さん"の愛情表現は彼女にとってずっとプレッシャーだった。(スマン・・・自分の中では父さんのビジュアルはGガンのチャップマンw)
しかし、シゴフミによってその真意を知った時、ヒロインは立ち直るきっかけを得る。
ここまで読んで非常にすっきりすることができた。そして、これまで読んできた各物語を読み返すと非常にやさしい気持ちになれる自分に気づく。
まるで自分自身が文伽になったような気持ちだ・・・。
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